国内での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が続いています。COVID-19は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による人の感染症ですが、今のところ、豚に感染する証拠はありません。潜伏期間は比較的長く5~6日で、最大14日とされています。クルーズ船「ダイアモンドプリンセス号」の104症例を受け入れた自衛隊中央病院のHP(
https://www.mod.go.jp/gsdf/chosp/)に最近掲載された報告では、そのうちの約80%は無症状あるいは軽微な症状を示しただけだったとのことです。このことは、感染しても気づかない人の割合が多く、知らずに感染を広げるリスクがあることを示しており、感染経路のわからない症例の報告が増えている今、このリスクが急速に大きくなっていると考えられます。
我々は国内養豚場のスタッフや管理獣医師など関係者の健康を守るとともに、COVID-19拡大を防ぎ、国民にとっても大切な養豚事業を継続することを確実にしなればなりません。そうした意味で、農場スタッフや農場訪問者が感染しないよう努力することはもちろんのこと、農場でも感染を広げない対応を日頃から実施して、万が一感染者が農場で発生した場合にも事業を継続できる体制を維持することが重要です。
以上のことを踏まえ、養豚生産者や管理獣医師など関係者として、新型コロナウイルス感染症について理解し、対応していただきたい事項は以下の通りです。
- 農場への立ち入りは必要不可欠な要員及び重要な活動を実施する要員に限定すること。
- 不要不急の外出は控え、急激に感染が拡大しているエリア(クラスタが確認されている地域、場所)へは行かないこと。
- 換気のできない密閉空間、人が密集・密接するような地域・場所へは行かないこと。
- 農場へ入退場する際は、従業員を含めシャワーイン・シャワーアウトあるいは手洗いを徹底し、衣服の交換を行うこと。また、農場内でも手洗いを励行し、咳エチケットにも気を配ること(咳をする際は、手で押さえず上着の内側や袖で覆うなどする)。
- 共同で利用する場所や頻繁に手指が触れる場所(机、ドアノブ、スイッチ、水道の蛇口、冷蔵庫のドアなど)は、毎日、定期的にアルコールやその他の消毒液(複合塩素系消毒薬、次亜塩素酸ナトリウム)で拭き消毒を実施すること。
- 共同作業(離乳、移動、出荷などの作業)をする際や一定時間、同じで部屋で過ごす場合には、マスクを着用すること。また、できるだけ2?以上の距離を保つこと。
- 体温測定・記録を励行し、体調が悪い時や発熱がある時には、農場へ出勤しないこと。
- 発熱の際は自宅で待機して出歩かないこと。また、37.5℃以上の発熱が4日以上続く場合には、それを上司に報告し、医療機関に相談してから受診すること。
- COVID-19対策の推奨は変更される可能性があるため、最新の情報に注意し、その推奨に従うこと。農水省HPにある新型コロナウイルス感染者発生時の対応・業務継続に関するガイドライン(https://www.maff.go.jp/j/saigai/n_coronavirus/ncv_guideline.html)も参照すること。