新型インフルエンザウイルスA(H1N1)は、アメリカの疾病診断センター(CDC)による遺伝子解析の結果から北米の豚の間で循環していたH1N1またはH1N2亜型のトリプル遺伝子再集合ウイルスと欧米の豚の間で循環していた鳥型豚インフルエンザウイルスのH1N1亜型との遺伝子再集合ウイルスであると考えられています。すでに人から豚への同ウイルスの伝播が確認されていることから、遺伝子再集合が豚で起こったか、人で起こったかは明らかにすることは難しいとされています。このウイルスはその他のインフルエンザウイルス同様、脂質二重膜からなるウイルス膜を持っていることから、一般の消毒薬に対する感受性が強く、次亜塩素酸ソーダや消毒アルコールをベースとした消毒薬が有効です。インフルエンザの潜伏期間(感染してから発症までの期間)は通常2〜5日間ですが、今回の新型インフルエンザでは一部に10日間とも言われています。
通常、人は豚インフルエンザ(今までに存在する型)にかかりにくく、かかっても軽症ですみ、人から人へはうつりません。今回の新型インフルエンザは人から人にうつりますので、新型インフルエンザという呼び名に変更になりました。現時点では新型ウイルスの豚から人への感染リスクより、人から豚への新型ウイルスを含めたインフルエンザウイルスの感染のリスクの方が高いと考えられています。
以上のことを踏まえ、養豚生産者として、新型インフルエンザについて理解していただきたい事項は以下のとおりです。
1.豚肉は食べても安全です。
2.今回の新型インフルエンザウイルスは今まで日本に存在しないウイルスです。
3.人から人へうつります。
4.しかし豚インフルエンザウイルスと共通な遺伝子部分をもっていますので、人から豚へ移ることが予想されます。
5.今、われわれが最も注力するべきことは、新型インフルエンザに感染した人から養豚場の豚に感染することを防ぐことです。
その推奨ポイントは;
(1)今まで実施してきているバイオセキュリティー(防疫対策)を徹底すること。
(2)体調不良な従業員、および家族に体調不良な人がいる従業員は入場を避け、医者の診察を受けること。
(3)農場に入る人は必要不可欠な人に限り、訪問者をできるだけ制限すること。
(4)入場させる訪問者では以下の点を確認して下さい。
@訪問日の10日以内に海外旅行をしていないこと。
A極力、新幹線や飛行機などの公共交通機関を利用しないこと。
B通常どおりのシャワーインと衣服の交換後、マスクと手袋を着用してもらうこと。
(5)農場スタッフも、極力公共交通機関の使用を避け、また人ごみに行くことを避けて下さい。
(6)農場従業員は通常の衛生管理を徹底すること。手洗いの励行、衣服の交換、咳のエチケット(豚に咳やつばをかけないこと)などを励行して下さい。 |