JASVが主催する衛生セミナーが、3月13日に「はあといん乃木坂(東京)」で開催されました。今回のセミナーでは、午前の部では「最新の養豚疾病事情と対策」、午後の部では「農場HACCP」という2つの大きな柱をたてて進められ、正会員、一般会員、賛助会員以外に、若手生産者、獣医畜産関連の大学生なども出席し、約160人の関係者が各講演に熱心に耳を傾けました。
午前の部では重要疾病の情報提供が石川、呉両先生から行われました。石川代表は、「オーエスキー病(AD)清浄化への取り組み」と題し、農水省が現行のAD撲滅対策要領を全面的に見直して“最後の5年”と位置づけてめざそうとしているAD清浄化の新たな枠組みを中心に解説し、呉理事は、「サーウイルス2型(PCV2)関連疾病(PCVAD)の状況と対策:国内と北米の最新情報」として、PCVADの基本的な対策について解説するとともに、セミナーの前日に帰国したばかりのAASV(米国養豚獣医学会)のトピックスを交えて情報提供が行われました。このなかでは、米国において、各社のサーコワクチンが奏功していることを踏まえ、関連発表への参加状況や、獣医師との会話のなかから「サーコは過去の問題になりつつある」との印象も語られました。
午後の部では農場HACCPをテーマに、行政、開業獣医師、検査機関、養鶏獣医師の立場から下記の講演テーマ(講師名)で行われ、締めくくりとして講演者と会場参加者も交え総合討論が行われました。
@HACCP方式を活用した農場での飼養衛生管理の推進に向けた国の取組
小原 健児(農水省動物衛生課)
A今なぜ、農場HACCPなのか 大井 宗孝
B−SMC農場HACCP−農場HACCPへの取り組み 小池 郁子
C養鶏場におけるHACCP事例紹介 西村 雅明
農場HACCP認証制度は、家保が中核となり、地域の生産者、畜産関係団体、獣医師会等が一体となって生産段階におけるHACCP手法の普及・定着を図ろうとする任意の制度で、HACCP方式の取り組みを行う農家に対し、@農場ごとのマニュアル作成(危害因子調査、危害分析(HA)、重要管理点(CCP)の設定、実施マニュアルの作成)→A実践→B検証、を行い、認証機関が認証を行うということです。今年度(19年)中に畜種共通の基準を示し、20年度には豚と鶏の認証基準を策定するとともに、農場ごとのマニュアル作成から検証、指導まで行う「農場指導員」の養成も開始し、小原氏は、こうした流れのなかでの養豚獣医師の指導的役割に期待を表明しました。
一方、現場サイドから講演した大井宗孝理事は、HACCPに対する生産現場の理解が進んでいない状況を指摘し、「HACCPを使って、生産現場と消費者が共通認識の下で正しいリスクコミュニケーションをしていきたい」との思いを語りました。このなかで、CCPとしてはともかく、@注射針、A薬剤残留、Bサルモネラ、の3つをターゲットとして、この3点については国産豚肉が同じレベルで確実にクリアし、輸入豚肉との差別化を図るべきだと訴えました。
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