JASVでは2007年9月28日、かごしま空港ホテルで第3回九州衛生セミナーを開催しました。最近の九州での離乳後事故率の増大は国内の豚肉生産量の低迷につながり、今後の養豚情勢への大きな不安材料になっていますが、これらの問題点解決の一助になるべく、今回は問題となっている肥育期の損耗対策をテーマに飼養管理面のポイントと対策の成功事例の紹介、および参加者を含めたパネルディスカッションを行いました。
九州衛生セミナーは3回目となりますが、当日は九州各県から、養豚家を中心に150名以上の参加者が集まり、受付には昨年同様、宮崎大学獣医学部の学生さんにお手伝いいただきました。講演の概要は以下の通りです。
(1)離乳期までの肥育豚の飼養管理のポイント 氷見獣医科医院 山本一郎先生
全国的な事故率の増加に触れ、その中でもなかなか対応に苦慮しているPCV2に焦点をあてて講演頂きました。その中で先生は下記の点を中心にやさしく解説されました。
母豚のコントロールについては、育成候補豚が重要であり、血統も病気の発生要因として考えていかなければいけない。呼吸器系に注目されているが、消化器系も重要で、下痢は体力を一番消耗するため、下痢発生の予防は重要である。ピットのアンモニアも、疾病の発生要因になり、これからの時期は注意が必要である。PCV2は、ワクチンもなく、ウイルスとして最も小さく死滅しにくいため、その対応にみんなが苦労している。しかし、見方を変えて、豚が気持ちよく飼われているか。ストレスがどう加わったかを考えてみるとPCV2の解決の糸口が見えてくるのではないか。
(2)離乳後の損耗対策の成功事例(九州地区の4名の正会員の先生)
「浮腫病は三次汚染病」 柳獣医事務所 柳智樹先生
「医食同源論的先方によるPMWS、PRDC防圧作戦と戦果について」松浦動物病院 松浦榮次先生
「最近の南九州での死亡事故状況とその対策」 サツマ家畜診療所 上久保正一先生
「最近の疾病対策の留意点」 藤原動物病院 藤原孝彦先生
(3)離乳後の損耗対策についてのパネルディスカッション
最後に講演を頂いた先生方によるパネルディスカッションを行いましたが、損耗の問題以外にも現在申請中のPCV2ワクチンへの考え方、また馴致に対する正しい理解への啓蒙の必要性なども話題に上りました。
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